きらきら

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「なんで………分かったんですか?」 「触れてみて、分かりました」 「………そうですか」  その言葉にふと、苛立ちを隠せない。  いや隠すつもりもない。  なぜなら、それは、全て、あの女の特技だったのだから。 『はいは~い、前より高血圧だね一体何をしたのかな?』 『ふ~ん、遊んだだけ、かぁ。まぁ、いいよ。君は子供だし』 『今日は、手足にわずかな麻痺があるようだね。なんでって、触ったら誰でもわかるよ』 『今日はこの薬を投与してみようか。なに、別に痛いのも苦しいのも無いよ。君の為に作ったクスリだから、他人からしてみたら毒かもしれないが君には薬だよ』 『今日の君は、少々、台帳の調子が悪いようだ。栄養士に消化に良いものを頼んでくるよ。なんでわかる? それは触れてみたからね。触れるだけで、私は他人の体調や症状を知れるんだ。便利だろう?』 「では」  だが別にそれがばれたからとはいえ、診られる必要はない。  もう治す方法が無いものは、待つのは死か、自己治癒だけだから。 「ま、待ってください!」  いいや、待たない。待つものか。  自らの歩を進めながら必死に痛みを我慢しながらも、その痛みによる苦しみを押さえ付ける。  眉間に皺をよせ、この苦しみから一歩でも逃げるために、彼女から歩を遠ざける。  だがなぜか、彼女は追いかけ続ける。もう勘弁してくれ、そんな言葉が漏れ賭けようとしてもこの女はいやという程ついて来る。  逃げて逃げて逃げて逃げて、僕の腕は掴まれる。 「何ですか………もうこれ以上追いかける必要はないはずです。もしこれ以上追いかけてくるんでしたら、抗弁にストーカーとして突き出しますよ」 「交番がきちんと機能していたらの話ですよね」 「………」  あぁ、そうだ。そうだよ。  彼女の言ったことに僕は、ぐうの音も出なかった。  こんな世界で真面に交番なんて機能しているのだったら、既に動いている。  交番だけではない、警察署や消防署、自衛隊なども動いているはずだ。  だがもう僕帯にはそのような存在は必要なかった。犯罪が低下していき、欲を持てば持つ程、それは形に鳴っていき、人を殺す。  だからこそ僕達は静かで平和な生活ができるという事だ。  秩序と言う非合法な正義の象徴が、まるで悪を生み出していたかのように。 「でしたら早くしてください。頭が、痛いんですから」
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