過去の話

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『はじめまして…だよね…?』 きみは言う。 ―はじめまして。 怖くて言えなかった。 きみが怖いからじゃない。声に出すのが、人と話すのが、怖いから。 まともな挨拶も知らない僕は…きみの言葉を無視した僕は… もう嫌われただろう。呆れられただろう。 僕は…孤独だ… 『ねぇ、そうだよね?』 ―そうだよ。 口をあけても、声を出せない。 『声、出せないの?どうして?話すのって楽しいじゃん!』 ―そうだよ、出せない。どうしてだろう? 《楽しいってなんだ?》 ―…きみの質問に答えられない僕を、きみはどう思うだろう? 『無理に話そうとしなくていいよ』
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