過去の話

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―え? 思いがけない言葉だった。 どうして呆れないのだろう…?見捨てないのだろう…? 「どうして…?」 ―あれ? 『なんだ!喋れるじゃん!』 ―今、僕、声、出てた…? 『ねぇ、名前教えて?』     名前― そんなもの、僕にあっただろうか… 『「…」』  首を振る僕を、ただ見つめるきみ。 名前が分からない僕に、今度こそきみは呆れただろう。見捨てるだろう。 『教えてくれないの?それとも…また喋れなくなっちゃった?』 ―きみは? 聞きたかった。知りたかった。周りとは違うきみを。 しばらく沈黙が続いた。 『あ、そうだ!ちょっと待ってて!』 勢いよくきみは走り出した―。
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