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きみが走り出してどれくらい経っただろう…? やはり、話せない僕の反応を見て呆れたのだろうか? 僕のことなど忘れて、暖かい家で家族と笑いながら過ごしているのだろうか。 それならなぜ、 ―待ってて! そう言ったのだろう。 帰るところもない僕は、ただ、ここにいる。 待っててときみに言われたから、ただ、ここにいる。 … 日が傾いてきたのにきみは戻らない。 もうすぐで月が輝いて見え始めるというのに…。 『…あ!よかった!まだいた!』 きみは言葉通り戻ってきた。 …僕が恐れる人を連れて。
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