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死にました
『異世界転生に期待して屋上から飛び降りました~結論、転生なんてなかった~』
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多分、即死だったんだと思う。
落ち方が悪かったのか、それともよかったというべきか、俺は学校の屋上から飛び降りそこから先の記憶がない。
イタミも何も感じず、苦しまず、逝けたらしい。
でも、今になって後悔している。
まさか死後の世界がここまで苦痛だとは思わなかった。
天国に行くでも地獄に行くでもない、何か不都合なことが起きたかと言われればそんなことはない。
何もなかった。
本当に何もない空間だった。
こんなことなら地獄にでも落としてくれればよかったのに。
もしくは死後の世界なんてなくて、俺自身すらも無になってくれればよかったのに。
何もない空間にポツンと一人。
肉体的な苦痛、欲求からは解放され、退屈という精神的な苦痛がじわりじわりと俺を蝕んでくる。
どれぐらいたったのかもわからない。
初めは大いに混乱したものだが、何もない場所で一人混乱し続けるのにも限界というものがある。
次第に落ち着き、死んだことを理解し、後悔した。
もしかしたら、ここは一種の地獄なのかもしれない。
自殺は自らを殺すこと、殺人で地獄に落ちると聞いたことがあるような気がする。
ああ、飛び降りたときはワンチャン異世界転生できるかも? なんてお気楽なことを考えていたものだが、過去に戻れるなら思い直せと止めるだろう。
……いや?
結局死ねばこの苦痛が待っているとわかっているなら、長生きしたところで何も変わらないのではなかろうか。
戻れることなら親父の棒を……
ん?
それって親殺しのパラドックスでは?
どうやら俺がここに来る未来はすでに決定事項だったらしい。
だったらまぁ、誤差でしかないか。
むしろ余計な苦痛を受けずに済んだ分早く死んで正解だったのではなかろうか?
それにしても、そうか……
人はこの世に生まれた時点で不幸が確定しているのか。
人というより生物は、か。
繁栄を目指して子孫を残し進化し、それって生物のためになっているのだろうか?
この世界のことは死者しかわからないから置いておくとして、過激な競争を勝ち抜かんとするのはつらく苦しいことだろう。
破れたとしても、勝利したとしても。
生物は果たして何をしたいのか。
苦しむ子孫を増やして何が楽しいのか、それを目的に生きて生きがいを感じるのだろうか?
自らが苦しみ、より多くのものを苦しませるために行動する。
地球とは如何ともしがたいようなホシだな。
ああ、だから宇宙人はいないのか。
だから地球外生命体がいないのか。
そこまで邪悪な存在は、めったに現れるものではないのか。
この世界では邪悪な者しか生きられず、邪悪な者共もより苦しみ他者を苦しめ生きている。
なぜ?
その先に何があるのか。
これはまるで閉じ込められた……
ああ、蟲毒か。
この世界は神が作り出した蟲毒なのかもしれない。
蟲毒が呪具として完成し、外に出てくるとしたらそれは人間だろうか。
それとも……
どちらにしても、勝ち抜いたところで幸せなどつかめようにもないが。
でも納得はした。
そうか、神のために生き、神のために苦しんでいるのか。
だから我々は神に救いを求める。
神がつっくたこの世界がこんなにも醜いのは、神がそう荒れとして作ったからに違いない。
そして人間が神に選ばれたのは、そうあれと作られた世界で最も神の思い通りになったから。
最も醜い生物だったからに他ならないのだろう。
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……なんでこんなくだらないこと考えてるんだ?
ああ、そうか。
暇で仕方ないからか。
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