ナイトルーティン[読みきり]

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 夫婦の寝室には、ダブルベッドとサイドボードその上にはテーブルライトがあればいいと夫の春樹は言うけれど、ドレッサーも置きたいと私はつよく言って寝室入口付近に置いてある。 「毎晩やってて飽きないか」  新婚当初は待ちきれないから早く来いよという感じで言われたけど、五年も経つと、呆れたように言われる。それでもこの寝る前のお手入れはやめる訳にはいかない。なぜならまだ女を捨てたくないからだ。  そして風呂上がりに白湯を少し飲み、顔をマッサージして、パックをしたあと、ナイトクリームを塗り、まつ毛美容液を塗り、リップクリームを塗る。このナイトルーティーンは、私が私でいる為に必要な儀式なのだ。  夫はもう子供を諦めている、だけど私は諦めてない。義母の嫌味に対抗するためでなく、私自身が欲しいからだ。使い切ったナイトクリームの瓶をゴミ箱に捨てると、室内灯を消して夫が潜り込んでいるベッドへと向かう。  寝たフリをしているのは分かっている、静かに拒まれているのは感じている、だけどそれでも私は夫婦である以上同衾する。  そして風呂上がりに白湯を少し飲み、顔をマッサージして、パックをしたあと、ナイトクリームを塗り、まつ毛美容液を塗り、リップクリームを塗る。このナイトルーティーンは、私が私でいる為に必要な儀式なのだ。使い切ったナイトクリームの瓶をゴミ箱に捨てると、室内灯を消して夫が潜り込んでいるベッドへと向かう。  寝たフリをしているのは分かっている、静かに拒まれているのは感じている、だけどそれでも私は夫婦である以上同衾する。  そして風呂上がりに白湯を少し飲み、顔をマッサージして、パックをしたあと、ナイトクリームを塗り、まつ毛美容液を塗り、リップクリームを塗る。このナイトルーティーンは、私が私でいる為に必要な儀式なのだ。使い切ったナイトクリームの瓶をゴミ箱に捨てると、室内灯を消して夫が潜り込んでいるベッドへと向かう。  寝たフリをしているのは分かっている、静かに拒まれているのは感じている、だけどそれでも私は夫婦である以上同衾する。  ……おかしい、ドレッサーの前で髪を梳かしながらなんとなくそう思った。鏡に映る自分のを見ながら、同じ事を繰り返している様な気持ちだ。毎日同じような生活をしているからだろうか、変化が無い毎日のせいだと思いなおして、ベッドに向かった。
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