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紗江ちゃんか。小学生の頃、よく一緒に遊んでいたうちに、子供なりに淡い恋心を抱いていたんだけど、急に親の都合で遠くへ転校してしまって、その気持ちすら伝えられなかったんだ。それ以来、いつか再会出来たらいいなと思っていたんだけど、久しぶりに会えてうれしい。
「ところでキミは、最近どうしてるの? 今帰りかな? 忙しそうだね。私もなんだ。……、あの、もし良かったら、少し一緒に歩かない?」
そう言えば子供の頃はよく一緒に歩いて帰ったっけ。久しぶりにそうしようか。
「いいよ。一緒に歩こうか」
「やったあ、ありがとう。……、あのね、その、良かったら、手をつなぎませんか?」
ええっ!? いきなりの申し出にドキドキしてきた。紗江ちゃんってこんなに積極的だったっけ? けれど嬉しいので、ぼくは了承することにした。
「いいよ」
「いいの!? うれしいな。何年ぶりだろうね。こうやって、手をつないで一緒に歩くの」
子供の頃は、ほとんど手をつなぐことは無かったと思う。もしあったとしたら何年ぶりだろうか。
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