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終章~誘惑の末路
その闇が晴れると、さっきまで紗江ちゃんだったはずの女の子が、黒い耳と大きな翼を付け、完璧なプロポーションを見せつける黒いビキニのような水着を着て、この世のものとは思えない不気味な美しさを持った女性に変身した。
「これが本当のわたしだよ。素敵でしょ? 空だって飛べるのよ」
「そんな、紗江ちゃん……!?」
「紗江ちゃん!? ああ、あれはあなたの心の中をのぞいて、一番好きな人物の姿を真似しただけよ。そもそも久しぶりに会って、無条件であんなに懐いてくる幼なじみなんて現実に居るわけないじゃない」
「じゃ、じゃあ、お前はいったい……!」
「お前だなんてひどいなぁ。まあ教えてあげるけど、人間の貧弱な語彙(ごい)を借りれば、悪魔ってところね。あなたが素直で純粋そうだからさ、思わず声かけちゃった。そしたらホイホイついてくるんだもんね、ま、好みのタイプだからうれしいけど」
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