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悪魔に好みと言われても嬉しくは無かった。人の心をもてあそぶなんてひどい。
しかしまともにやっても勝ち目はなさそうだ。ここは逃げるしかない。
「か、帰る!」
ぼくはさっき入ってきたドアのほうに向かい、ノブを思い切り引っ張るが、玄関に向かうどころかリビングのドアさえも開かない。
「もしかしてここから出ようとしてる? 無駄よ。そのドアは魔力で封印しちゃったから、人間の力じゃ絶対に出ることは出来ないわ」
「そ、そんな! お前、何をするつもりだ!?」
「何をするのか、ですって? 一言でいえば、WIN-WINの取引をしましょうってところね」
「どういう意味だ!?」
「あなたの魂をわたしの中に取り込む代わりに、永遠にステキな夢を見せてあげる。私は欲しいものを手に入れて、あなたは苦しみのない世界へ行ける。これこそWIN-WINじゃないかしら」
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