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序幕~思わぬ再会
「ねぇ、私のこと、覚えてる?」
初夏の少し蒸し暑い深夜のこと、今日も残業でへとへとになったボクは、家の最寄りの私鉄の小さな駅前で、突然かわいいOLさんに話しかけられた。
歳は20代前半ぐらいだろうか。だとすればボクより年下だろう。顔は日焼けしたのか少し褐色を帯び、美少女の雰囲気を残していた。
身体に目を向けると、大きな胸元を強調した紺色のスーツまとい、大胆なタイトスカートにドキッとしてしまった。
「久しぶり、元気にしてた? もしかして、私のこと、わすれちゃったの? 子供の頃一緒に遊んでたじゃない。スーツだからわからないかな?」
久しぶりと言われて記憶の糸をたぐってゆく。誰だっけ、子供の頃に一緒に遊んだと言えば……、そうだ、よく見れば顔に面影が見える。毎日夕方になるまで外で遊んだ年下の娘を思い出した。
「もしかして、紗江ちゃん!?」
「うん、そうよ。思い出してくれた? うれしいな」
「ボクも久しぶりに会えてうれしいよ」
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