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睦月
二〇二✕年の幕明け。
初日の出が終わり、青く澄んだ冬空に太陽が輝く頃、多くの人々は初詣に出掛けた。
とある著名な寺では、お賽銭を投げ入れるまでに小一時間掛かる。人々は密になって長蛇の列を作り、その時をじっと待つ。寒くないように厚着して。
振袖姿の若い女性や、スーツ姿の集団、体を密着させたカップル、白髪の老婆もいる。しかし彼らの中で、マスクをしている人は、ほとんどいない。
その光景は、あの新型コロナウイルスが流行する前と、なんら変わりがなかった。
ただ、一つのことを除いて。
それは、人々がみな押し黙っているということだ。
お賽銭を投げ入れる音、人々が足を運ぶ音、衣ずれの音などはしている。しかし、人の声はどこからも聞こえてこない。
静寂が支配する初詣は、さながら厳かな空気に包まれた儀式のようになっていた。
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