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朝目覚めると彼女がいる おはようの挨拶 爽やかな朝だ
「いってきます」と「いってらっしゃい」のやりとり キスはない 俺は家を出たくない氣持ちを押し殺して大学に行く 一日中彼女の事で頭がいっぱいだ 友人の誘いなど全て断って俺は家に帰る
「ただいま」と「おかえりなさい」が呼応する 彼女は料理をしてくれている 一緒に食べる夕食 おいしい 幸せだ
就寝前の何氣ない会話 一日の終わり おやすみを言う やはりキスはない それ以上もない また朝がくる そしておはようから二人の一日が始まるー
「普通に楽しんでませんか?」
普通どころか最高に楽しんでいた俺に彼女が言った 同棲が始まって六日目の夜だった
「水曜の朝私はいなくなりますので お忘れなく」
そうだ 彼女といられるのもあと三日と少しだ 睡眠時間や大学を入れたら二日もない あと三日寝ないで過ごすか 大学も休むか 俺は真剣に考えた
「聞いてますか?」
俺の真剣より 彼女は真剣のようだ
「ま 私に恋してくれているようなのでそれは良いのですが」
ゾッコンです 心の中で答えた
「ただ もう一つの覚えてるかの答えを聞かせて欲しいです」
そう言うと彼女はまた胸に手をやり悲しい顔をする 俺は居た堪れない氣持ちになる
「そう言ってもノーヒントじゃねぇ」
「それが彼との約束だから」
「彼って?」
それは初めて彼女が溢したヒントだった
「彼って誰?やっぱりこれは誰かに頼まれてやってるの」
「それは言えません」
俺はムキになった
「そうだよね 君みたいに綺麗な子が俺と同棲するとか有り得ないもんね これなんかのドッキリ?どこかに隠しカメラあるとか?カメラの向こうで『彼』が笑ってるとか」
彼女の瞳に涙が溢れていた 俺は焦った
「ごめん 言い過ぎたよ」
その時テーブルに置いてあったコップのお茶を彼女に溢してしまい彼女の胸からお腹が濡れた
「うわっごめん」
「大丈夫ですから」
彼女はハンカチを取り出し拭いた
「タオルとってくるね」
とタオルを持ってきたが彼女は受け付けなかった
やってしまった と彼女を見ていると彼女の胸の谷間が見えそうだった こんな時にと俺の理性は思ったが少し覗いてしまった
ただ俺の瞳が注目したのは期待したものではなかった
「服着替えますね」
彼女は着替えを取り出し風呂場に行った
彼女の胸の谷間には傷痕があった それも大きな縫い目のような傷痕が なにかの手術の痕だろうか
立ち尽くしていると溢したお茶はテーブルの下にあった彼女のバックも濡らしていた 俺は持っていたタオルでそれを拭こうと、バックを持ち上げた その時一冊のノートがバックから落ちた
そのノートはかつて何度も見たとても懐かしいノートだった
服を着替えた彼女が風呂場から出てきた 俺はノートを手に取り固まっていた
「なんで君がこのノートを持ってるの?」
俺は涙を流して聞いた
それは星弥がいつも持ち歩いていたノートだった
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