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 「これが、私があなたを訪ねた理由です すぐに会いに来れなくて すみません」  俺は知りたかったあいつを知った  黙っている俺に彼女はまた泣いて聞いた  「私は星弥さんの願いを叶えられましたか?」  彼女の辛さが俺に伝わった この子はずっと苦しかったのだ 星弥の死の責任を一人抱えていたのだ 彼女が抱える必要はないのに 俺が知らないところで彼女は星弥と生きてきたのだ  「あいつ 本当勝手な奴でさ」  俺の口が勝手に話し始めた  「何でも自分の思い通りになると思ってんだよ 本当勝手だよね でも最高だったんだ」  俺は泣いた  彼女も泣いた  俺たちは星弥に泣かされたのだ  氣がつけば日付けが変わっていた 俺たちは恋人のように肩を寄せあったまま黙って時が経つのをみていた 沢山の星弥が俺の中を流れていった  「星弥さんの氣持ち驚きましたか?」  唐突に彼女が聞いた  俺は不思議な自分の心のうちを告白した  「驚いたよ そんな事思ったことなかったから でもあいつのはたぶん俺とは違ったから」  「違ったって?」  「俺はさ ほとんど見た目だけで女の子を好きになってた だから俺の好きは軽かった氣がして 同じ好きでも俺の好きとあいつの好きはたぶん違ったんだと思う あいつの好きはもっとなんて言うか高尚な氣がする だからあいつに好きって言われるのは嬉しい 俺もあいつに惚れてたのかもね」  思えばずっと不思議な奴だった どこまでも氣楽で一緒にいるだけで落ち着く   俺の青春の必要最低条件が星弥だ それ以外はなくても良かった  「でも あれはないよ」  俺は笑った  「あれって?」  「最初のやつ『ねぇ、覚えてる?』て あれ絶対わかんないから」  「そうですよね」  「俺が星弥と会った最後の日あいつは『次会った時一番に俺が生きてるか?って聞くからな』って言ってたけど わかんないから 君が来て 心臓だけ星弥で そんなのわかるわけないよ」  俺はまた泣いた  あいつは俺を見て笑っている氣がした  
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