2

2/3
前へ
/20ページ
次へ
 続いて、プログラミングだ。SNS上のボットなら開発経験は豊富だが、今回は音声で会話できるようにしたい。と言っても、今はネット上に転がっているオープンソースの音声認識システムの精度もかなり上がっている。僕はそれらをカスタマイズし、バックエンドになるニューラルネット学習エンジンと接続した。この学習エンジンはかつて僕が会社で働いてた頃に開発に携わったもので、当時僕が作った有名人ボットのバックエンドにも使われている。  昼も夜も、僕は一心不乱に開発に取り組んだ。僕のミッションである孫の幼稚園の送り迎えや買い物以外の時間は、ずっと画面に向かってキーボードを叩き続けていた。実働時間は現役で働いていた頃よりもよっぽど長いくらいだった。早く美由紀に会いたい。話がしたい。その強烈な思いが、僕を激しく突き動かしていた。  それに、もう一つ。  僕を動かしていたのは、焦りだった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加