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基本的に、AIボットは「会話」から学習を行う。受け答えがおかしいようなら人間の方で修正してやる。ひたすらそれの繰り返しだ。僕だけじゃなく、長男や長男の嫁にもできるだけ会話をしてもらった。
さらに僕は、生前の美由紀が書いていた日記を「彼女」に入力した。彼女は大学時代から自分のパソコン上で日記をつけていたのだ。ちょうど、僕らが出会った頃から。
別に入力は音声でなくてはならないわけではない。というより、結局のところ音声認識システムは音声をテキストデータに変換しているので、最初からテキストデータになっている日記は「彼女」にとってはむしろ好都合なのだ。
美由紀の日記の内容が次々に形態素に分解され、ニューラルネットの中で重みづけされていく。その過程を目で追うことは、即ち……彼女の日記を盗み見ることに他ならない。
いや、いけないことだとは分かっている。だけど……僕は彼女の日記を見たいという欲求に抗えなかった。心の中で、システムの動作を確認しなきゃならないから、と言い訳し、美由紀に頭を下げつつ、結局僕は彼女の日記を全部見てしまった。
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