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紺野彩月ちゃん。
私たち1年D組のクラスメイトで、史が所属している男子バレーボール部のマネージャー。
ショートカットヘアーで、スタイルもいいし、すっきりとした顔立ちは、モデルさんみたいでカッコいい。
何より、誰とでも分けへだてなく接してくれる。
明るくて、素敵な子なんだ。
そして、史と彩月ちゃんの仲が良いことは、クラスメイトのだれもが知っている。
いわば、共通認識みたいなもの。
でも、史が彩月ちゃんを好きなことは、私しか知らないんじゃないかな……。
思い返してみると、何回もそうなんじゃないかなって思う場面はあった。
教室で、史の方に目をやると、彩月ちゃんのことを優しい目で見つめていたり。
私と話している時にだって、楽しそうに笑うこともあるけど、彩月ちゃんと一緒にいる時の史は、その何倍も嬉しそうに見える。
史の視線の先にいるのは、やっぱり彩月ちゃんなんだ。
なんとなく分かってはいたけど、ここまでくると確実に近いような気がしてきた。
一緒に過ごしてきた時間は、幼なじみの私の方が多いはずなのに、史はきっと私のことをただの幼なじみとしてしか認識していない。
史は、私の初恋。
今まで、だれかをちゃんと好きになったことってなかったんだ。
少女マンガが大好きな私。
読むだけで、ときめきとか胸がキュンってなる感情を味わえちゃうから。
学校の男子なんかより数倍もカッコよくて、素敵なキャラクターが出てくるし。
そんな風に考えてた私は、現実の恋愛より、マンガ世界の恋愛だけでいいって思ってたんだ。
少女マンガみたいな、キラキラした恋愛がしてみたい!あんな恋愛が私の理想なんだ!ってひとり夢見ていた私。
でも、そんな風に毎日を過ごしていたら、周りの友達は気づけばみんな、彼氏を作っていて……。
だけど。
そんな私に、初めて芽生えた気持ち。
正直、自分でも少しびっくりしてる。
最初は、ふわふわしてぼんやりと形作られていた気持ちだったけど、今はちゃんと史のことが好きって自覚がある。
だから、この初恋は大事にしたい。
史に、好きって言われたいな……。
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