好きって言われたい同盟。

同盟結成？

片想いって、もどかしい。
それに、私の場合は報われない片想いだから。

中学生の頃から、幼なじみである椎名史(しいなふみ)のことが好きだ。

でも、彼にはたぶん好きな人がいる。
なんでかって。
好きな人のことは、自然と目で追ってしまうもの。
自分の好きな人が誰を見ているのかなんて、嫌でも分かってしまう。

私が史のことを好きなように。
史にだって、好きな人がいるんだ。

そのダメ押しをされたのは、6時間目にあった全校集会。　
男女別の名前順2列に並んで、壇上で延々と話し続ける校長先生をボーッと眺める。

6月後半の体育館は、蒸し蒸しとしていて、着ているワイシャツには、うっすらと汗がにじんでいく。

私の苗字は、白羽(しらは)だから椎名より少しだけ後ろ。
もちろん、並ぶと私の方が史より数人分後ろに位置することになる。

ふいに、視線を校長先生から史へとずらすと、史の視線は、隣の女子列の斜め前あたりへと向けられていた。

……きっと、彩月ちゃんだ。