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「実は、私は男の子を産んだのですが、経済的な事情で児童養護施設に預けました。」
ママさんのこの言葉を聞いた僕は確信を持った。
「ママさん、そのお子さんを預けた児童養護施設は『星の子学園』ではありませんか?」
その言葉を聞いたママさんは、何故か落ち着いた口調で話し始めた。
「はい、そうです。
以前げんさんが、捨て子として静岡の児童養護施設で育ったと聞いた時、もしやと思いました。」
ママさんは、僕が息子であるかもしれないと考えていたようだった。
「ママさんは、僕を産んでくれたお母さんなんですね!」
と僕が言うとママさんが、
「げんさん、ごめんなさい!」
と少し涙ぐんで謝った。
僕も少し悲しくなったけれど、27年前に僕を捨てた時に流した母の涙を思い出して、母を恨む気持ちにはなれなかった。
「ママさん、謝らなくてもいいですよ!
僕は恨んでなんかいません。」
するとママさんは、涙を流しながら頷いていた。
「これからは、お母さんと呼ばせてください。」
僕がママさんにお願いすると、
「お母さんと呼ばれるのは、なんとなくおこがましい気がします。」
という言葉が返ってきた。
「それでは、お店では今まで通りママさんと呼ばせてください。」
と僕が提案すると、ママさんは頷いていた。
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