産みの母と育ての母

2/13
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
僕の名前は『弦輝(げんき)』、東京の4年制大学で電子工学を学び、卒業後は静岡の実家に戻って自動車メーカーに就職した27歳の男性会社員だ。 僕は幼い頃母に捨てられたようで、物心ついた時は静岡の『星の子学園(ほしのこがくえん)』という児童養護施設で育てられた。 その後僕は6歳になった時に、今の両親に里子として引き取られて、養子縁組して家族として生活をはじめた。 僕の両親は、とても理解があって僕のやりたいことを尊重してくれた。 大学進学について東京の理系の大学を希望したら両親は反対することなく学費や生活費などを援助してくれた。 また就職についても両親は何も口を出すことはなく、僕は希望通りの会社に就職することができた。 僕は両親とは血が繋がっていないけれど本当の親だと思っていて、僕をここまで育ててくれたことを心から感謝している。 父は僕が25歳の頃肝臓がんの病におかされていることが分かり、半年ほどの闘病生活の後天国に旅立った。 今は静岡で母と僕の2人で生活している。 母は時々僕に、 「弦輝は弦輝のことを産んでくれたお母さんに会いたいかな?」 と言葉をかけてくれることがある。 そんな時僕は、 「会ってみたいという気持ちがないわけじゃないけれど、でも今は探すつもりはないよ!」 と答えている。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!