産みの母と育ての母

ある日僕が残業で少し遅く帰ると母が、

「お帰り！

　夕食まだでしょ…

　用意するね！」

と言ってくれたので僕は、

「ありがとう！

　着替えてくるね！」

と言って自分の部屋で着替えてから、食事が用意されているダイニングテーブルに座った。

「いただきます。」

僕が食事を食べ始めると母が、

「弦輝、私弦輝を産んだお母さんのこと調べてみたんだよ！

　差し出がましいようだけど、弦輝が会いたいかなと思って…」

と少し遠慮しがちに話してくれた。

僕は少し考えてから、

「会ってみたいとは思うよ！」

と母に正直な気持ちを伝えた。

すると母が、

「正確にはわからないけれど、弦輝を産んだお母さんは、同じ市内にいるかもしれないよ！」

と話してくれたので、

「どうしてそう思うの？」

と僕が聞くと母は、

「実は興信所にお願いして探してもらっているのよ！、

　弦輝が赤ちゃんで捨てられた時に一緒に添えられていた手紙のコピーを興信所に渡したの…

　すると興信所から連絡があって、同じ市内に住んでいる人らしいところまでわかったらしいのよ！」

と教えてくれた。