産みの母と育ての母

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予約した翌週末の土曜日当日に時間旅行社を訪問すると、タイムカプセルと呼ばれる装置が用意されていて、さっそく僕はこの装置の中に入るように案内してくれた女性に指示されて装置の中にある椅子に座った。 「それでは出発します。」 という女性の声が聞こえたかと思ったら装置の扉が閉まって外が暗くなり、物音ひとつしない時間が10分程度続いたかと思うと周りが急に明るくなった。 少しすると装置の扉が開き、見知らぬ女性から声をかけられた。 「到着しました。  どうぞこちらへ!」 僕が装置の外へ出ると、周りは見慣れない風景だった。 「ここはどこですか?」 と僕が聞くと、案内してくれた女性が、 「1994年10月12日の時間旅行社の研究施設です。  この時代では、時間旅行社の営業は、まだしていませんでした。  今の時刻は、17時です。」 と答えてくれた。 その後その女性から22時までにここに戻ってくるように指示された。 僕は女性にお礼を言って時間旅行社を出ると、外は少し風景が古めかしい感じがした。 僕はこの日、児童養護施設に置き去りにされるはずで、もしかすると僕を捨てた母親に会えるかもしれない。 そう思うと僕は急いで児童養護施設に向かった。 児童養護施設に到着した時は18時30分を過ぎていて辺りは暗くなっていたけれど、僕は児童養護施設の外側で玄関が見える場所に身を潜めた。
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