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「ねえ、覚えてる?」
「何を?」
「あれよ」
「あれって?」
「私たちが初めて会った日」
僕は相手の後ろ姿を見ながら、少し動揺した。いや、後ろ姿というか。
そいつは、突然、僕の中に入り込んできたんだ。
「いつだっけな。でも、けっこう昔だよね。かなり小さい子どもの頃だったと思う」
「・・・」
「確か、そのとき、母親から、誰も見ていないって思っても、天から必ず見られているから、悪いことはできんよって言われた。僕は本当だとは思わなかったけど、ときどき、恐る恐る空を見上げていたのを覚えてるよ。そのしばらく後だったね、君に会ったのは。
僕は、何か恥ずかしいと思うときや嘘をついたときに君がそばにいることを意識した。そして君が悲しそうにしてるのが分かった。でも、無視し続けてきたね。
そのとき、もっと素直になっていれば、こんなことにはならなかっただろうし、こんなに後悔しなくて済んだかもね」
やばい、いつの間にか眠っていた。
どうしたんだろ、涙が止まらない。
僕は今どこにいるのか?
ここは何処?
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