三話「占いにハマった友達」

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   ねぇ、アンタは占いってやったことある?  雑誌やテレビの運勢占いじゃないよ?  ショッピングモールで見かけるような、なんとかアモーレ片桐みたいな……ちょっと変わった名前を名乗ってるプロの占い師の人に、占ってもらったことある?  アタシはあるよ。  友達と一緒に占って貰ったんだけど……その、ちょっと変なことになっちゃったんだよね。  だから、今日話すのはその友達の話。  アタシの友達のA子はね、普通の女の子だよ。  服装や化粧も派手じゃないし、性格も暗すぎず明るすぎずって感じの、どこにでもいそうな子。  A子はオカルトに興味があるとか、占いが好きとか、そういう訳でもなかったんだけどさ。  その時って、すっごい当たる占い師がいる! って、仲間内で話題になってて。  グループメッセージで送られて来た話だと、占い師の言う通りにしたら好きな男の子に告白された、とか。  占い師に言われた物を持って受験に挑んだら合格した、とか。  そんな話が山ほど送られて来ててさ。  受験の話みたいに、ちょこちょこ占い関係ないんじゃね? って体験談もあったから、ならアタシたちも占ってもらって、本当に当たるのか確かめてみよう! ってことになったわけ。  けど、その占い師はいろんなショッピングモールで占いをしててね?  昨日は隣町のどこで見た! とか、グループメッセージで共有される目撃情報を元にして、週末は二人でショッピングモール巡りをしてたんだよね。  運良く占い師に会えてもね、すっごい行列が出来ててさ。  アタシたちの順番が来る前に、今日の営業は終了しますー、なんて言って、お店を閉めちゃうこともあったんだ。  そういうのってさ、ちょっと嫌じゃない?  あと少しでアタシたちの番だーって思ってたら、前の前に並んでる人までしか占いません! って言われるんだよ。  悔しいよね。  そんな感じで半月くらいかなぁ?  毎週占い師を探して、ようやくお店をオープンさせたばっかりの、誰も並んでない時に遭遇出来たんだ。  もうちょー走って一番に並んで、アタシとA子はその日、初めて占ってもらったんだ。 「お客様、どうぞ」  衝立で目隠しされた向こうから、上品な感じのおばさんの声がして、アタシたちは占い師のところに向かったよ。  
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