二話「中古車のカーナビ」

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   これは、俺が大学生の時の話だ。  その年、サークルの後輩が車を買った。  中古車で異様に安かったとかで、後輩は嬉々としていたんだが……。  その時点で、何かがおかしいと思うべきだったんだよな。 「俺、運転するんで! 今年の夏はみんなでユニバ行きましょうよ!」  後輩はかなり浮かれた様子で、俺たちに言う。  サークルメンバーの何人かも乗り気で、俺と後輩を含めた五人が、夏休みにユニバに遊びに行くことになった。  この五人の内訳は、男三人に女二人。  正直俺は、夏休みはバイト漬けにして金を稼ごうと思っていたから、行く気はなかったんだが……。  後輩と仲が良かったばっかりに、半強制的に参加が決まっていた。  当日、予定通りの時刻に、普段から重用しているファミレスに集まった俺たち四人。  軽食を取っていたところ、少し遅れて後輩が顔を出した。 「すみません、道が混んでて」  どこか浮かれた様子で言って、後輩が後ろ頭をかく。  車を言い訳に使えることも嬉しかったんだろう。  俺たちは残った食事を片付けて、ファミレスを出た。  この時、初めて後輩の車を見たんだが……中古車とは思えないくらい綺麗だった。  古い車種でもなさそうだし、車内も新品同然で、カーナビまで付いている。  どうしてこの車が、破格の値段で売っていたのか?  思わず首を傾げる程度には謎だった。 「そんじゃ行きましょ! あ、先輩は助手席で」 「なんでだよ」 「だって、他の人だと緊張するじゃないっすか!」 「俺だと緊張しねぇのかよ」  まぁ、そんな会話をしながら出発したわけだ。  初めのうちは、順調に進んでたよ。  高速乗って、パーキングエリアでトイレ休憩して。  ユニバまでの道筋は、カーナビが教えてくれてたし。  後輩も俺たちも、案内に従ってりゃそのうち着くだろうって思ってたんだよ。  けどさ、途中で高速を降りろって指示されたんだよな。 「おい、コレ道合ってんのか?」 「さぁ? 分かんねっす。けど、なんか抜け道とかあるんじゃないっすか?」  俺は助手席に座っていたし、後輩がしっかり目的地をユニバに設定していたのも見た。  だから、そんなもんかと思って、それ以上の口出しはしなかったんだよ。  
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