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「ほほう。この大量の白い粉の中に隠されたお宝を見つければいいんだな?」
オレがそう呟くと、手下の男は無言で頷いた。
だがその目は、“お前にできるのか?”と、笑っているかのように冷たかった。
もし、この白い粉がもし危険なヤクだったら…。
某有名少年探偵のように「ペロッ、これは青酸カリ…」なんて舐めてしまってからそう思ったって、実は手遅れだ。
---どうやって探せばいいんだ。
この白い粉、気管に吸い込めば危険なモノだと、オレの脳がブレーキを掛ける。
しかも皮膚に吸着すると、厄介なことになるのも明らかだ。
皮膚へのダメージだけでなく、精神的にもヤられることになるだろう。
「これは厄介なシロモノやでぇ」
そう呟いたオレは、頭の中で必死になって、計算した。
如何にスマートにお宝をゲットして皮膚へのダメージを極力避けつつ、且つどうやって追手から逃げ切るかを。
だがここで、一つの不安が胸をよぎった。
ここをスマートに逃げ切ったとしても、組の仲間はオレを勇者として迎え入れてくれるだろうか。
“闘いに勝ったが勝負に負けた、空気も読まないロクデナシ”扱いされたりするんじゃないか。
---それは、まずい。
追手の足音だろうか。
ヒタヒタと近づいてくるのが聞こえた。
もう迷っている時間はない。
オレは腹を括って、その危険な白い粉に真正面からぶつかっていった。
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