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産まれた時からずっと働き続けている。休むことは許されない。それは男の運命であり宿命だ。
意識が遠のきそうになる事もある。いつになったら終わるのかと、終わることのない労働に絶望しながら。
止まって休んでしまおうか、と思う事もある。そのたびにどこからともなく奴らが来る。
「休もうとしてるの? いけないんだ」
「いけないんだ、いけないんだ」
「そんな事させないから」
「させないんだから」
あはははは、と笑いながら二人は協力して男を働かせる。もう少しで休めるかと思ったのに、また働かなければいけないのかと男は絶望する。
「おやすみなんてさせないよ」
「おやすみなんて許さないよ」
「やすんだら、貴方は何のために生きてるの?」
「やすんだら、貴方は生きてる意味なんてないね」
きゃははは、と二人は笑う。男は歯を食いしばって耐える。もうどのくらい働いたのだろうか、いつになったら終わりになるのか、男は目じりに涙を浮かべて働き続ける。
しかしある日、念願叶ってついにやすむときが来た。ぱっと男が立ち止まり、目を見開く。
「これが、やすみ……やった、ようやく俺は!」
しかし。無情にもあの二人がやってくる。
「させないよ、おやすみなんて」
「させないよ、させないよ」
「ほらまた動け、動け」
「働け、働け」
きゃははは、と笑いながら二人は協力してネジを巻く。
「あなたばかりが大変なんじゃないよ」
「私達だって大変なんだよ」
「ちくしょおおおお!」
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