麦わら帽子

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三人で無言で歩いていた。 勇人が少し声を震わせて呟いた。 「影が無かったんだ」 「えっ?」 俺は聞き返した。 「走って行くのを見ていたら街灯の下を通っても影が無かったんだ」 だから驚いていたのか?とさっきの勇人の「えっ?」を思い出した。 今度は智哉が呟いた。 「足音が無かったんだ」 「えっ?」 再び俺は驚き聞き返した。 「俺の前を走り去る時、足音がしなかったんだ」 「じゃあ二人とも本当にあると思わなかったって言ったのは?」 勇人がぼそっと呟いた。 「あぁ、ウスウス感づいていた」 智哉も続けて。 「俺は部屋の前に着いた時、通路側の窓が暗かったから確信した」 「えっ?じゃあ、俺達が見たまほちゃんは……」 それから俺達はコンビニに寄り、無言で大量の酒を買った。恐怖を忘れて眠りに着きたくて、浴びる様に酒を飲んだ。 俺は飲みながらまほちゃんの「ともだち?」と「くつ?」を言った時の顔が浮かんだ。多分外に出ていないから靴を知らない。友達なんているはずもなく、そんな言葉は覚える必要が無かったって事だったんだと考えていた。
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