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「大きくなったら、結婚して!」
今思うと、すごくませた子供だったなあと思う。
まだ保育園の年長さんにもなってない頃、友達のみほちゃんのお兄ちゃんにそう言ったことがある。
今思えば、中学生位だったのかな?
お父さんがいなくて、仕事が忙しい忙しいお母さんの代わりに、よくみほちゃんを迎えに来てた。
でも幼児からしたら、制服を着たお兄ちゃんはすごく大人に見えて、かっこよかった。
帰りに忘れ物はないか、みほちゃんに優しく聞いて、先生にお父さんやお母さんみたいにご挨拶をして、少し時間があるときは、男の子たちのサッカーに付き合ってあげてた。
私にも3歳年上のお兄ちゃんがいて、もう小学生だったけど、お風呂上がりにパンツをはかないでおしり振ってダンスして、お母さんに怒られてた。
うちのお兄ちゃんとは全然違う、カッコいい!
私は思ったことをすぐ言っちゃう子だった。
カッコいいと思ったら、靴を履くみほちゃんを園庭で待ってたお兄ちゃんに走っていって、そう言ってた。
「えーと、君は……?」
「みずのゆき! みほちゃんといっしょのごはんのグループだよ」
「ああ、ブロッコリーが嫌いなゆきちゃんか! みほがニンジン嫌いだから、いつもこっそり交換してくれてんだよね、ありがと」
お兄ちゃんがクスクス笑いながら、私の頭を撫でてくれる。
私はちょっと傷ついた。
ブロッコリーを食べれるようにならないと! と決意した。
「ブロッコリー食べれるようになるし、おしゃれも、お母さんにのお手伝い頑張って、料理も覚えるし、だからみほちゃんのお兄ちゃん、結婚してください!」
「じゃあまず、みほちゃんのお兄ちゃんじゃなく、名前で読んでくれる? すけひらかおる、だよ」
「わかった! すけひらかおる。かおるお兄ちゃん!」
名前を教えてもらって、私は有頂天だった。
明日、みほちゃんにもこっそり話そう。
「おにーーちゃーーん」
靴をはいたみほちゃんがこっちに走って来る。
「じゃあゆきちゃん、またね」
「うん、みほちゃん、かおるお兄ちゃんまたね!」
私は有頂天だった。
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