episode.1

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声を小さく漏らしたその瞬間に 自分のしでかしたことに 気が付いたものの 出た言葉は戻せない。 でも、 彼は 「おはようございます」 そう 私に返してくれたのだ。 え… 一瞬、 今度は 言葉に詰まる私に 彼は 「しばらく出張で」 そう短く付け加えた。 優しく  そう話す彼に 私は やっとの思いで 本音を漏らした。 「もうこの電車には乗られないのかと思っていました」 そう言うと 彼は 「そう思っているかもしれないと考えていました」 そう答えた。
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