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その女が何処の誰なのか……
どうにかして確かめようとしたものの、ようやく見えたと思った相手の顔は、長く伸びた前髪に隠れ、垣間見ることすら出来ない……
――ビデオテープから出てきた某怨霊と一緒じゃねぇかよ!?
無論、その言葉は口から出てこない。
付け加えれば、女の言葉に反論できないのは恐怖からだけではない。
たちの悪いことに……
うっすらではあるが、俺はその女に[見覚え]があったからだ。
今のところは[見覚えがある]以外は何も解らないままであるのだが、故に、真っ向から女の言葉を否定できないでいたのだ。
――もしかして、酔ったときにでも……
そう考えたが、それはない。
俺はそもそも付き合い以外で酒を嗜むことはなく、その際にも酩酊するほど飲むことは絶対にないからだ。
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