ねぇ、あの味を覚えてる?

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すると、さっきまでニコニコしていた母が不思議そうな顔で私を見てきた。 「それにしてもお手伝いさん、よく分かったわねぇ。私の誕生日はシチューで祝うって、あのコに聞いたの? 最近、忙しいのか顔を見せてくれないけど。あなたにシチューを作ることをわざわざお願いするなんて、やっぱりあのコも覚えててくれてるのねぇ」 母はそれから、私の初めてのシチューがどれほど美味しかったか熱く語ってくれた。 同じ話を何度も。それは昨日のことのように。
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