恋人を作りました

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恋人を作りました

恋人を源基が作ると宣言してから一年が過ぎた。 どうやら奴は恋人とは上手くいっているらしい。 (どうせ学生の時みたいに、相手の我儘に飽きてすぐ別れると思っていたのになぁ…。) と思いながら、今日は帰宅が遅いと知っているから、一人でのんびりと夕食を作り食べていた。 数ヶ月前にもらって来た離婚届けはいつも鞄に入れて持ち歩いている。 恋人と一年近く付き合えば相手だって結婚したいというはずだ。 飽き性の源基が長く続いているならそろそろ離婚して欲しいと言われる事も考えて置かなければ。 少しずつ顔を合わせない生活にして、遠い現場だからとビジネスホテルを使う回数を増やして、勿体無いから1か月前からワンルームを借りた。 こうなると家賃折半でも痛い。 これから先、一人で生きて行くのだし経費は抑えたい。 そうなれば早く離婚を、となるが、奴は中々その言葉を言わない。 慰謝料を気にしてだろうか? ルールに恋人が出来たら離婚するという一文がないからだろうか、と考えて自分にも恋人が出来れば案外、気持ちも楽になって簡単に離婚を承諾するかもしれないと考えた。 人付き合いが苦手で男性が苦手、昔ほどではないが、そんな私に恋人が出来る確率は低い。 会社の上司に相談を……仕事に支障をきたす気がして言えない。 (何で私が奴のために会社での立場まで危うくしないといけないのよ!会社でこんな話出来るわけない!私が不倫して離婚と思われたら困るわよ。) 何で29になってまでこんな事を考えなければいけないのか、奴との結婚が間違いだったと、私は大きくため息を吐いた。
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