変化

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恋人らしく見える様にと飲みに行ったり食事に行ったりを数回繰り返して、日曜日に映画を見る約束をした。 「普通にデートをしましょう。ご主人に会う前に自然に見える様に…緋色さんは嫌かもしれないけど、手位は…繋げると…。」 「いえ、嫌じゃないです。大丈夫です。恋人だから、なんとなく空気でわかりますよね?確かに今のままでは、何処かで会っても見られても、会社の人?って言われそうです。」 笑顔で答えて彼の手を取った。 実は拒否反応が出ないかを気にして、出たら彼には嫌な思いをさせてしまうし、彼も被害者なのにそれは申し訳なくて繋げないでいた。 不思議なほど自然に手が繋げた。 私の中で苦しんでいる彼を見て、彼は大丈夫だと「館林」とは違うと線引き出来ているのかもしれない。 館林祥一と偽の恋人同士になり2ヶ月が過ぎた。 仕事の合間に二週に一度ペースで家には帰っていたが、源基とはすれ違いで会えない日も多かった。 大きな仕事がひと段落ついて、また数日すれば忙しくなるからと洋服などを持ち出そうとも考えて、平日休みがとれた事もあり二日間の予定で家に帰った。 源基が会社に行った時間を一時間過ぎてから部屋に入り、相変わらず源基らしく綺麗に片付いていた。 洋服を鞄に詰めて、明後日仕事に行く時に大きな鞄を持っては出れないから、源基が帰る前に一度運ぶ予定でいて少しでも多く持って出ようと、本でも紙袋に入れて行こうと袋を探しにリビングに行き、部屋に戻り本を入れてリビングに戻りソファの下にそれを置いた。 冷蔵庫を開けて軽く手料理を作り、冷凍庫に仕舞う。 冷凍庫のストックが減っていたので食べたんだなと追加して作り、どうせ買い物も碌にしないから野菜は全部使えばいいやと、ストック料理に回した。 一部を皿に入れて、ソファに座りテレビを付けて口に入れて食べ始める。 リビングに面した窓から入る日射しでソファの間で何かが光った。 背当てに置かれたクッションを退かすと、そこに綺麗に光るピアスの片方が落ちていた。
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