気持ちを吐き出して

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「確かに逃げてる部分はある!!認める!だけど緋色も逃げてる部分あるだろ?俺は普通に子供が出来たら良いなとか思ってたけど緋色は薬を飲んでた。俺には内緒で。出来ないなら仕方ないけど作らないって何で?拒否するのは何で?好きじゃないから?最初から?じゃあ何で結婚した?石山陽治って人の事も俺は初めて聞いた。夫婦生活…したくないんだろ?本当は…。それは15歳の時に何かあった事に関係してる?」 緋色の顔を覗く様にずっと気になってたけど聞けなかったと、最後は小さく呟いた。 諦めた様な溜息と共に、緋色は座っていた場所にもう一度腰をドサっと降ろした。 「話すわよ、話せばいいんでしょ?その代わり私も、もう引けないから言いたい事言うわよ?どれだけあんたが傷付いても知らない、それでもいいのね?」 冷静な緋色の声が響くと、源基が頷いて少し距離を空けて隣に腰を降ろした。 それを合図に緋色は話し始めた。 「恋人を作ろう、ルールを決めよう、言い出したのは源基よ。今の言葉を聞いて私が拒否をして薬を飲んでいたから言い出したって事かな。それで行くと恋人とはやるだけじゃなくて子供も作りたかったって事だよね。」 「違う!緋色以外の子供は要らない!」 「じゃあ何で恋人なのよ!私がどれだけ傷付いたと思う?この部屋に入れたの?このソファでやったわけ?そこに座るのも嫌だとは考えないの?」 厳しい声と表情で問い詰めると即座に否定の返答がされた。 「やってない!熱で倒れて、病院に付き添ってもらって、送ってもらってここまでで帰った!ベッドまで行くの手伝うよって言われたけど、ここでいいって帰ってもらった。仕方なくだった。」 「そもそもそれが気に入らないの!熱があって倒れる程ひどいなら連絡しなさいよ!病院まで付き添ってもらったら、妻に連絡をお願いしますって!」 「仕事、忙しいだろ?現場にいたら抜けられないし…。」 ぐっ…と言葉を詰まらせてから、絞り出す様に緋色が言う。 「そこだよね?」 「えっ?」 急に冷静な声に戻り、源基は驚いて間の抜けた顔をした。 「仕事を心配するフリして、熱がある時に考えられる?少し熱があっただけなら出来るでしょ?大義名分があって二人で早退して、ここでして…疑われても仕方ない事してるじゃない。違うなら連絡してよ。無理ならそう言うし、遅い帰宅になるかもしれないけど必死で早く帰って来るし、病院にだって迎えに行くわよ。妻なんだから、源基が辛い時、側に居られないで…夫婦って言える?」 泣きそうな声で緋色は膝の上に置いた手に頭を乗せて項垂れた。
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