気持ちを吐き出して

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「誓って何もない。本当に風邪でダウンしてた。医者に聞いてもらってもいい。緋色が言ったんだ。疲れてるだけなら分かったって言えた。だけどあの日は…いつも他の子として来るのにどうして今日は私なのって言ったんだ。いつも他の子って…俺、してないよ。」 悲しそうに言われて緋色はガバッと顔を上げて、少し距離のある源基のスーツの両襟を両手で掴んだ。 「この後に及んで!嘘吐かないでよ。結婚してからもその前も!私が黙ってるからって合コン、合コン!合コン!!モテるからって黙ってても寄って来るから仕方ないとか、今日の子は胸が大きいからとか、あんた、下半身だけで生きてんじゃないのってあの頃いつも思ってたわよ!!夜中に帰って来て香水の匂いさせてしてませんとかどの口が言うのよ!言っておくけどね、あんたと同じ大学なのよ?知りたくない事も教えてくれんのよ!どんな女の子にお持ち帰りされたか!昔の携帯見せてあげましょうか?」 証拠はきっちり残してあるんだから!と鼻息荒く部屋に行くと、緋色はしょぼんと戻って来た。 「……お前、荷物全部持ってっただろ?」 冷静な源基の声が聞こえると、ショボンとしたまま静かにソファに座った。 「……………。」 「………何笑ってんのよ。」 「いや?………そういうとこあるよな?」 顔を緋色とは逆方向へ向けて、口元に手を当てて、源基の体は揺れていた。 「我慢してても肩が揺れてんだけど。」 「悪い。真面目な話、結婚してから一度も浮気はない。確かに呼ばれて合コンは何度も行った。」 「行ってんじゃない。」 「行ったけど、お持ち帰りされた事もした事も結婚以降はない。」 言い切る源基の顔をじっと見つめて、呆れ顔を向ける。 「以降は、ね?結婚前も同棲してましたけど?夜中に帰るのありましたよね?」 「コホン………そこは忘れて欲しい。…………申し訳ありませんでした。」 突然に頭を下げて言われて、怒って良い場面のはずなのに思わず緋色は、プッと小さく吹き出していた。 「今更ね…昔の話だし。離婚してから浮気を責めても無意味だわ。」 馬鹿馬鹿しいと呟いて、緋色は源基の顔を見た。
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