気持ちを吐き出して

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「なんで俺?」 「あんた、本当にそういうところが馬鹿!空気は読む癖に女の気持ちは分かんないのよ。下手にモテるから努力が足りないのよ!」 フン!と言い切り、クッションを抱えた。 「一回拒否られただけで諦められる程度の女なんだと思うの!それで他に行けるんだ、出来れば誰でもいいんだ、そう思うの!それに源基が噂を信じてたら、汚いと思われていたらってそれが嫌なんじゃないかって…聞けないでしょ?どこまで知ってるの、汚いから嫌なの、そうだって言われたら嫌われたら立ち直れないでしょ!!だ…大体、好きなら何回拒否されても来なさいよ!男でしょ!自分の好きな女の一人、その気にさせられないでどうすんのよ!あんた昔っから…そういうとこ弱虫なのよ!!」 言葉の途中からボロボロッと、緋色の大きな両目から大粒の雫が落ちた。 「拒否…されても何度でも行っていいの?」 ボソッと訊き返す。 「嫌なら力強くで拒否するわよ!あんたより力はあるんだから!!」 泣きながら、手で拭きながら話す様は小さな子供みたいに見えた。 「抱き潰しても?次の日足腰立たないかもよ?仕事どうすんの?」 「はぁ?貧血とか、不調とか言って上には昇らない様にするわよ。……ていうか、私まだ離婚しないとは言ってないから!」 フン、と横に顔を背けるのは目が合った後に良くされた事だ。 変わらないな、と両手で頬を包んで前を向かせた。 「なによ?」 泣き顔の癖に強気の目。 赤い顔でまだ泣きそうなのを我慢してるから、唇を噛んでいて切れてる。 短い髪、前髪だけ長くて休みの日は頭の上で*ちょんぼ*してる。 今日は小さな髪留めで横髪に流してて、イヤリングも綺麗に光ってドレスはとてつもなく似合ってて綺麗だ。 「離婚はしない。俺はずっと緋色が好き。緋色はしたくないと思ったから気持ちが楽になればと恋人を作ろうと言った。緋色の代わりに緋色の名前を呼んで貴子さんを抱いた。……ごめん。二度としない。だから…。」 「何回?」 「えっ?」 真剣な顔で話していたのに、緋色に睨まれて、何回と聞かれて停止した。 「何回寝たのかって聞いてるの?」 「えっ?」 「えっ?…じゃないわよ。謝れば浮気を許してもらえると思ってんじゃないでしょうね?一年も付き合ってて両手で足りる訳ないわよね?」 凄むと大きな目が少し細くなって、超絶綺麗で超絶怖い。 源基は緋色の両頬を包んだままで笑顔を作った。
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