気持ちを吐き出して

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「一年は嘘。半年、付き合ってた。長期間付き合わないってポリシーが貴子さんにはあるらしくて…。」 「どうでもいいわよ、人のポリシーなんて。既婚者の浮気のポリシーに興味ないわ。何回って聞いてんの!」 凄まれて仕方なく答える……目を逸らして。 「6回〜〜〜〜あ〜7回かな?」 「半年付き合って7回の訳ないでしょ!嘘つき!!浮気する!私も同じ回数浮気する!」 「ちょ…それあの恋人?館林とか言う、ダメ!絶対だめ!すぐ別れて!!今までの事は聞かないし、キスもそこから先も全部許すから忘れて綺麗に別れて!!」 焦った源基が珍しく強引に命令口調で言い、緋色の唇を自らの唇で塞いだ。 「ちょ……ここは、いや、なんだけど……。」 「緋色が来いって言ったんだろ。」 「い、言ったけど…ここは嫌だ。」 「ここではやってないって。」 「そういう言い方も嫌だ!!」 グイッと手で顎を押すと、情けない顔を源基はしていた。 それでも強引に抱き上げられて、源基の部屋に連れて行かれた。 一年振りの夫婦の行為は、驚く程熱く、長く、甘く、幸せだった。 夜中に目が覚めて置かれた時計を見ると2時だった。 喉が渇いたので水を取りに行き、ソファに置きっぱなしのクラッチバッグを手に寝室に戻ると、源基も目を覚ましていて、水を渡すとぎゅーっと抱きしめられた。 「バック?」 クラッチバックを見て、不思議そうな顔を向ける。 「うん。館林さんにお母様に渡して頂こうと手紙を入れてたの。恋人が倒れたって電話で慌てて帰られたから渡しそびれちゃった。」 と手紙を出すと、源基は起き上がって信じられないという目を向けていた。 「は?あいつ…恋人いんの?二股掛けられてたって事?俺の緋色を二股。許せねぇ。」 握り拳を作り、怒りに燃えている源基の額に手紙を着けて叩いた。 ペチンと音がすると同時に、いてぇ、と聞こえる。 「本当にバカね。二股掛けてた男が言わないでくれる?」 「二股じゃない。緋色とはしてないから!」 「腹立つ男ねぇ…不倫に変わりはないでしょ!しかもあんな男の奥さんだなんて。趣味悪っ!」 ちょっと言い過ぎかなと思いながらも、やっぱり浮気は許せないしこの一年、どれだけ辛かったかと思うと言わずにはいられない。 「趣味悪いから緋色と結婚したんじゃないかぁ。」 笑顔で言われてムカついて肩をバックで叩いた。
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