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「言われてもダメだぞ?緋色は絶対!ダメだ!うちにパートに来てて誘われて、拒否された後で落ち込んでて…妻の名前呼んでも良いならって冗談で言って断ろうとしたら、貴子さん、良いわよって。代わりでいいし、自分も旦那の名前呼ぶし、なんなら奥様に似た感じにしてみる?って言われてフラっと。一度のつもりが流されて…でも月1ペースだから…。」
「ふうん…で、7回なのね?やっぱ離婚!」
呆れた顔で言い、フンと離婚決定と言い返すと、起き上がり源基は頭を下げた。
「ごめんなさい!二度と浮気はしません!申し訳ありませんでした!お願いだから離婚だけは踏み止まって下さい!」
真面目な顔で急に謝られてしまうと、自分も過去の事も結婚までしておきながら何も話していなかった事、その所為で拒否した事で必要以上に傷付けてしまったのだと反省をしたので、緋色も素直に謝った。
「うん…私もごめんね?何にも話してなくて、心配させてたよね。離婚は今後の源基を見てから考える事にする。」
と言うと、よし、と喜んだ後で、抱き着き、いきなり亭主関白発言をした。
「離婚回避となれば、館林さんともすぐ別れろ!今電話しろ!」
「馬鹿じゃないの。夜中だってば。それより、これ、読んで。渡し損ねた手紙。」
ベッドの上にヒラっと落ちたままの手紙を緋色は拾い、源基に渡した。
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館林 直子様
ご無沙汰をしております。
突然にこの様なお手紙を祥一さんに託しました事、お詫び致します。
祥一さんからご病気の事を伺いました。
退院されたと聞き、安堵致しました。一日も早いご回復をお祈りしております。
祥一さんが訪ねて来られた時、お顔を拝見して愕きました。
大変によく似ておられて、身体が震えました。
お話を伺い、祥一さんも苦しんでいると知り、直子さんがいつか言われた言葉を思い出しました。
親の罪は子供には関係ない。
同じ言葉を祥一さんに伝えました。
彼が苦しむ事は何一つない、そう思います。
ですが何かをしたいと、強く懇願され、現在の結婚相手と円満に離婚を進める為に、仮の恋人役をお願いしました。
直子さんが何かのきっかけで知った時、誤解をされたらお身体に良くないと思いますのでお知らせしておきます。
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