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二人の生活
建築士の資格を取り、仲良くしていた先輩の事務所に入社した春木源基は、小さな事務所ながらも建築設計士としてそれなりに業界では名前も知られ始めて、顔はいいし背も高いし品も良いし、業界誌にも載ったりして大きな会社のパーティーなんかにも呼ばれる様になり、綺麗な女性を紹介されたり、合コンに行く日も増えて来た。
「げんきが相手に選んだ人があんな女とはね?本当に驚いたけど、こうやって合コンに来ても何も言わない嫁は有難いよな。そこを考えてかと感心したよ。」
大学時代からの友人に誘われた飲み会が合コンで、トイレに立つとそう言われた。
源基だからニックネームはげんき。
学生時代からそう呼ばれていた。
「お前が来るとさ、また会いたいけどお前は連絡先を教えないから、俺、意中の女の子の連絡先ゲット出来ちゃうんだよな、ありがとな。」
かなり酔った悪友は俺を誘う理由を簡単に吐いた。
(既婚者を騙してまで呼ぶな!)
と言いたいが言わない。
昔から俺は日和見で実は人見知りで八方美人のカッコつけ。
人から嫌われたくない、上手くコミュニュケーションを取ればいいと思っている小さな男なんだ。
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