過去と現在

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「初めて…聞いた気がする。」 息を吐きながら緋色がポツリと言うと、源基は少し考える表情を見せてから、 「初めて…ではないな、緋色からは聞いた事ないけど、これからはもっと素直にいう。カッコ悪いかもしれないけど…。」 と返してから唇に軽いキスを落として、首筋を唇が触れて行く。 「私が……言った…ら、止まらないよ?」 「もういくの?」 「違う、ばか!」 胸辺りにある源基の頭を叩いた。 「だ、から!源基にす、き、って……言ったら…重い奥さんになるよ?いいの?」 「いいよ?」 「…………ん、何処に、いるのって……毎日、メール…するかも。」 「いいよ。」 「証拠に…写メ送ってって………あ、いう、かも。それでも、いいの?」 「いいよ、俺も送ってって言うから。それで自慢する俺の奥さん綺麗でしょって。」 突然、顔を近付けて、キスをする源基に驚きながら、その顔を見て緋色はくすくすと笑った。 「源基、小学生の頃みたいな顔してるわよ?」 「止めてくれよ。小学生はこんな事しないだろ?」 容赦なく愛されて、源基の背中を抱きしめながら、体温を感じながら緋色はその言葉を口にする。 ずっと言えなかったそれを…。 「源基…ずっと……昔から、好き…だった。源基が好き。」 「う…ん。」 「源基が…好きです。」 「…はい。」 「………泣いてる?」 「泣いてねぇ、汗だ、馬鹿。」 「馬鹿はあんたでしょ?馬鹿だけど……ん、………あい、してる。」 「もう一回、言って?」 「ばか。」 「違うわ!おまえはもう〜〜〜!!」 「ちょ……まっ…………や。」 「源基……愛してる。……ずっと、好きでした。」 ぎゅっとその背中を抱きしめた。 うつらうつらと薄く目を開けると、隣に居るはずの人が居なくて手でそれを探した。 キッチンから包丁の音が軽快に聴こえて、目を向けると僅かに空いている寝室のドアからジュウゥ〜という音と共にいい匂いがした。 グウゥ〜〜〜、と自分のお腹の音が聞こえると、昨夜からまともに食べてない事を思い出す。 「ん、お腹…空いた。」 小さく呟いて息を吐くと、寝室の僅かな隙間が大きく開いて、源基が顔を見せる。 「緋色ー?あ、起きた。どう?大丈夫?」 顔を覗き込まれて、ボソリと反抗的な目で緋色は答える。 「だいじょばないわよ……。」 「みたいだね。ご飯できたけど、ここに運ぼうか?」 「あんたが平然としてる事が一番ムカつくわ。シャワー先に浴びるから、手を貸して。立てばなんとか行けると思う。」 「分かった。」 よいしょと、抱き上げられて、寝室からお風呂場まで連れて行かれる。
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