エピローグ

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抱き潰しは金曜日か土曜日、確実に休みの前日にと約束をしてもらった。 お互いに妥協、そこは譲り合いで行きましょうと言うと頷いてくれた。 (こんなに子供みたいな人だったかな?こんなに甘い人でこんなに全身で好きって表す人だったかな?) 不思議に思いながらも、やっぱりずっと好きだった人に変わりはなく、自分だけを見てくれていて、それはもう夢中って感じが伝わるのでそれでいいと思っている。 休みの朝、気怠くて起きられない、開かない目で微睡の中、緋色は手で横を探す。 それをドアから見てる源基はクスクスと笑いながら、 「それ、男がやる事じゃないか?」 と言う。 それでも怠くて目が開かないから、今度は足で探す。 元々、足癖が悪いみたいで蹴っちゃう事もあるのだが、足が触れるのは嫌いじゃないみたい…お互いに。 文句を言われた事は一度もない。 「緋色、ご飯出来たよ。起きれる?」 「んー、起きる。お腹すいた。」 「足、それ止めて。」 「ん?ごめん、嫌だった?」 返事をしながらも源基がまだベッドの上にいる感覚で答えて、覚醒して目を開けてゆっくりと起き上がる。 「違う。俺がいない時は止めて?またベッドにダイブしたくなる。」 「……………。」 無言で源基の顔を見上げると、戸惑いだし弁明をする。 「いや、違う。変な意味じゃ……「ダイブ…すれば?」 「へっ?」 「ダイブすれば?」 源基の言葉を遮り、淡々と緋色が言った。 「緋色…寝ぼけてる?」 「……かも、ね?」 クスッと笑い、両手を首に回して唇を奪うと、源基はまんまとベッドにダイブする。 時間を気にせずにゆったりと迎えられる休日の朝は、二人だけの時間が優しく流れて、嫌いじゃない。 新しい夫婦の関係は壊れて、また新しい夫婦の関係を築いている。 子供が出来ても出来なくても、二人で仕事は続けようと約束もした。 仕事の形態自体は変化すると思うし、もし子供が出来たら大きくなるまでは内勤に異動を願い出るつもりでいる。 どちらも諦めずに仕事を続ける為の譲歩は必要。 今までは全て折半だった生活費も今は総て源基のお金で支払われている。 緋色のお金は緊急時に使う事、一年に一度の旅行、将来の蓄え。 二人で話し合って決めた事。 全部二人で……新しい緋色と源基の結婚の約束。 小さな頃から好きだった人に好きと言えたら…。 素直に言えたら良いのにと思った事は何度もある。 ーーーー「好きだと言ったらどうなるの?」 お題みたいに聞いた事があった。 「抱き潰す!!」 「馬鹿じゃないの?」 「馬鹿でいい!」 好きだと言ったら……幸せになりました。 ーーー 完 ーーー      2021、6、20
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