完璧なレシピ

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完璧なレシピ

 顔を洗い、歯磨きを済ませてキッチンへ行く。 冷たい鍋にオリーブオイルと角切りにした野菜を入れ、弱火にかける。軽く塩をしてザッとヘラで混ぜて蓋をした。暫し待つと野菜から水分が出てくる。 「まぁた裸で料理して…」 背後から恋人の寝起きの声がした。 「このレシピだと油もはねないし」 振り向くと、片眉を上げて、そういう問題?という顔をしていた。 「いつものスープ?」 「そう」 「楽しみだなぁ」 首筋にキスをして寝室へ戻って行く。 裸の後ろ姿は、美しい動物そのものの、好ましいバランスをしている。  一呼吸おいて水を多めに入れ、コンソメも入れてから火加減をごく弱火にした。 いつも1時間は様子を見に来られない。  1時間の後、鍋の様子を見てベーコンを入れ、二人でシャワーを浴び、スープの味を見て、髪を乾かしてもらい、スープに卵を落とす。恋人の髪を乾かし終わる頃、卵は丁度半熟になっている。 私達は裸のまま熱いスープを食べて、笑いながらベッドへ戻るだろう。窓の外は音も無く雨が降っていて、二人を優しく家に閉じ込めてくれる。
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