2人が本棚に入れています
本棚に追加
頭の上から降ってくる悟志の言葉に、わたしは首を横に振った。目尻に陣割、熱いものがたまっていく。
「え? え?」
ますますうろたえた悟志の声がした。
あ、また勘違いさせちゃった。わたしは小さく、ふふ、と笑った。
悟志は朝早くから夜遅くまで働くエリートサラリーマンで、仕事がきつきつなところに、わたしと同棲をはじめようとしてくれたのだ。段取りもなにもかも、彼が仕切ってくれて、わたしが簡単に住めるようにしてくれた。考えることも計画も、そのうえ仕事も、となると、頭はフル回転以上だったに違いない。
だったら、今度はわたしが考えよう。
「ちがうの。わたしが悟志に甘え過ぎていたんだね。わかってあげられてなくてなくてごめんなさい。今度から、どこにどう置いてほしいか、イラストや説明文を棚につけてわかりやすくするから、それを見てね」
「はは、会社の棚みたいだな。……ありがとう、助かるよ」
ほっとした悟志の声を聞きながら、わたしは頬を悟志の胸にすりすりしたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!