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出逢えて、デートしている時点で奇跡だといつも思っていた。一生分のラッキーポイントを使い果たしたんじゃなかろうかと考えているくらいだ。
奇跡尽くしのわたしに、まさか、これ以上のハッピーで想像以上のラッキーな一撃で、わたしの頭は真っ白になった。もしかしたら聞き間違いかも? そう思うと、余計、動けなくなった。
悟志はくすり、と笑った。
「とりあえず、、そのサラダ、食べとく?」
彼の目線がわたしのフォークとくちもとを行ったり来たりしていた。
わたしは慌ててサラダを口に突っ込んだ。
もしゃもしゃと機械的に咀嚼するけれど、味がよくわからない。悟志はいくぶん表情を和らげると、話し始めた。
「ぼくはすぐにでも一緒に住みたいんだけど、珠智が、考える時間が必要と言うのなら、待つよ」
わたしは勢いよく首を横に振った。
悟志の顔がみるみる曇った。
あ、誤解してる。
わたしはごくりと葉っぱを飲み込むと、ワイングラスへ手を伸ばした。悟志の真似をするつもりはなかったけれど、わたしもごくっと大きくひと飲みした。赤の豊潤な香りが鼻を駆ける。きゅう、とアルコールが胃と脳へまわった。
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