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たん、と勢いよくグラスをテーブルに置いたわたしは、なかば叫ぶように告げた。
「わたしも悟志と一緒に住みたい!」
悟志は大きく目を見開くと、次いで満面の笑みを見せた。
つられて私もにっこりした。
テーブルの上のわたしの手に、悟志の少し汗ばんだ手が重ねられた。
こうして、わたしたちの共同生活がスタートしたのである。
引っ越しは悟志の部屋、と簡単に決まった。二人の職場へのアクセスが良かったし、一人暮らしなのに3LDKという贅沢をしていたのだ。
「ツテで破格の家賃にしてもらっているから」
と、悟志は言っていた。デキる男はツキにも恵まれているらしい。
それぞれ個室を持ちつつの共同生活がスタートしたとき、わたしは悟志が仕事だけでなく家事もできる男だということを知った。
「一人暮らしが長かったから」
とは、本人の弁だが、やらない人はどんなに一人暮らしをしていてもやらないと思う。悟志はすごい。わたしは人としても、あらためて悟志を尊敬した。
掃除や洗濯、食事作り、ゴミ出しなどなど、二人でルールを決めるのも楽しかった。そのルール作りからして、悟志がリスト作成してくれる。ここはオフィスか、というくらい立派な分担表がプリントされて、コルクボードへ貼り出された。
悟志はなんでもてきぱきこなすので、おっとりで要領の悪いwたしは出る幕なさそうに思ったが、ひとつだけ、譲らないときめたものがあった。
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