アナザーメモリーヒーロー

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数日後。その時は来た。 空に円盤が現われ、そしてそこから怪獣が舞い降りてきた。 「いよいよやってきたな」 「ええ」 ぼくと女の子はテレビでその様子を眺めていた。 戦闘機が飛んできて、怪獣に攻撃を与えていった。しかし怪獣はびくともしなかった。そればかりか、数機が撃墜されていった。 「ようし行こう。それでどうすれば」 「ヒーローに変身すれば飛んでいけるわよ」 「ようし、たのんだぞ、もう1人のぼく」 「終わったわよ」 どうやら記憶がいつものぼくに戻ったようである。 「え、怪獣は?」 「やっつけたわよ。そのあと侵略者の宇宙船も去っていったわ」 「そうか。ああ、その間何があったか認識できないって妙な気分だな。そうだ、テレビを見てみよう」 テレビをつけてみると、どのチャンネルも怪獣を映していた。そりゃ、よほどの出来事なんだしな。そしてその中にはヒーローとの格闘を見せているのもあった。 「ああ、この前見せてくれたヒーローだ。本当に巨大ヒーローとなって戦ってくれてたんだな。おお、光線を発射した。やったあ、怪獣を倒したぞ」 「あなた、よく戦ってくれたわね。ありがとう」 「え、これ、ぼくだったんだ。今一つ実感がわかないなあ。お礼ならもう1人の自分に言ってあげてよ。ようし、今度また怪獣が現われたら・・・」 ピピピッ 何か音がした。見てみると、女の子が機械を操作していた。そのあと自分に話してきた。 「たった今、同胞から連絡があったの。侵略者は地球から撤退していったそうよ」 「え、まだ怪獣を一匹倒したばかりだよ」 「あのね、それぞれの星に派遣されている私達の仲間は、その星の環境や住人の体質によって様々な対応策を行なっているの。そんな中で地球人には巨大ヒーローとなるのにすごく適した体質を有していたのよ。ただし、それが悪用されないように清い心の人間を選ぶ必要もあったけどね。それで侵略者はかなわないと判断して地球侵略はあきらめたそうよ」 「へえ、そうなんだ。それじゃ、ぼくはもうお役御免ってわけだ。君は地球を去っていくんだね」 「いやそうでもないのよ。いつまた何かが起こらないとは限らないから、ずっとい続けるつもりよ」 「だけどいつまでいるつもりだ。ぼくだって人間だ。何十年も生きていられない。いずれ死ぬんだし」 「その時は別の人間に取り付くつもりよ」 「全く・・・」
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