1人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
「ねぇ、覚えてる?」
「ああ、君は、あの時の。覚えてるよ~。宇宙人、だっけか。突然現われて、小さい姿だから、ぼくビックリしてこわかったけど、そのあと色々話してくれて」
「覚えててくれたの。うれしい~」
「だけど変だな。今のぼく、ずっと昔に君と会ったことは覚えてるけど、それ以外のことは全然思い出せないんだ」
「そりゃそうよ。今のあなたは記憶喪失だった時のあなたなんだし」
「え、どういうことだ。まあいい。だけど久々に君に会えてうれしいよ。もっとお話しよう」
「だけど今それどころじゃないの。あのね・・・」
女の子は一連の出来事を話していった。
「そうなんだ。別の宇宙人が攻めてくるんだ」
「だから今のあなたの協力が必要なのよ」
「わかった。それでどうすれば」
「ちょっと待ってて。それじゃあいくわよ」
女の子が機械を操作すると、たちまちヒーローの姿となった。
「ええ、これがぼく?テレビでよく見てたヒーローみたいに本当になれるなんて」
「どんなヒーロー?」
「いや思い出せないなあ」
「そりゃそうね。それでその姿で侵略者が送ってくる怪獣と戦うのよ」
「よおおし、やってやるぜ」
元の人間の姿に戻る。
「それじゃあ、私はもどらなければ」
「え、どこへ?」
「もう1人のあなたのところへ」
「ええ、ぼくって、何だか変身する時しか生きていられないみたいで。何か複雑だなあ」
「わたしだって、昔のことを覚えているあなたともっと話をしたかったわ。でもそうも言ってられない。さあ記憶を戻すわよ。それじゃ、その時が来るまで、さようなら」
―――終わり―――
最初のコメントを投稿しよう!