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それから自分は、昔のことを考えてみることにした。
いや自分は、普段から自分の過去について考えていた。
学校での出来事、昔見ていたテレビ番組、遠くへ旅行したことなど。
今も古い番組の放送をたまに見ていて、ネットで書き込みしたりしている。
自分のようなフリーターと違って、仕事に追われている人は過去を振り返る暇がないのだろうか、どうだろう。
30年前といえば、自分が幼稚園の頃である。そういえばあの時、車にひかれて胸にギブスみたいのを付けられていたんだったけ。
いつものように耳鼻科の医者に通っていたのを覚えている。そこからあとのことは覚えていない。気が付けば病院で治療を受けていた。
その時点まで何かをしていたのは確かなのだけど、どういうわけかそれについては思い出せなくなっていた。どうしてその時病院の一室にいたかも意味不明であった。何か知らないけどケガをしたみたいであった。
この出来事については以降も時折思い出すことがある。そして数十年間色々物事を知るに至って、あるいはと思った。記憶喪失から戻る時の感じはああいうのではないかなと。
記憶喪失になったあと元に戻ると、その間の出来事は覚えていないのだそうである。
当時の自分は人と話すのが不得意で、その頃自分が経験したことはこれまで誰にも話したことがない。今も不得意なのは変わらないか?
このことを考えていて、もしやと思った。そして机に向かった。
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