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それから3日ほど、アジガンダはネヒロネに助けてもらったお礼として、農場の仕事を手伝っていた。
ネヒロネは食事をしないアジガンダのことが心配ではあったが、己の食事はいつも通り摂っていた。
ネヒロネが幸せそうに食べる姿を、アジガンダはいつも見つめていた。
「あら」
何かを見つけたように、アジガンダは呟いた。
「ネヒロネ、シャツが2か所にスボンが3か所。穴が開いている」
「ん? ああ、本当だ。新しいのを買ってこよう」
ネヒロネは、シャツの穴に小指を通しながら、意外と気が付かないものだな、と思った。
「新しいのは買わなくていいよ。私が直す」
「アジガンダは縫い物が得意なのか! すごいな、僕は全くできないよ」
「ええ、少しだけ、自信があるの」
「それは助かる。やってもらっても構わないか? 今までは、穴が開いたら全部捨ててしまっていたよ」
「ええ、もちろん。私はネヒロネに何度も助けてもらった。こんなことで良いなら、私はいくらでも」
「それはありがたい! ただ……」
「ただ?」
「僕が縫い物をしないから、この家には針も糸も何も無いんだよ」
「そうなの……」
ネヒロネは、ポンッ、と手を打って言った。
「今度、一緒に市場へ行ってみないか?」
「……ええ、ネヒロネが一緒なら」
少し含みのある感じで、アジガンダは了承した。
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