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すっかりネヒロネとの暮らしに馴染んだアジガンダは、ある日眼帯をして、グリーンの左瞳を隠していた。
「アジガンダ、その左目はどうしたんだ? 大丈夫か?」
「ええ、大丈夫。ものもらいに罹ったみたい」
「そうか。怪我ではなくて良かった」
ネヒロネは、少し安心した。
「今まで気が付かなかったけれども、ブルーの右瞳もチャーミングだね」
「何それ、口説いているつもり?」
「さあね」
ネヒロネは、アジガンダを構成する何かが欠けてしまったように感じた。だが、それを補うように、アジガンダのブルーの右瞳は決意を持ったような、強い輝きを持っているようにネヒロネには見えた。
「ところで、お願いがあるのだけれども」
「何だい?」
「今日の夜、私にも料理を作ってくれない?」
「僕の料理を食べてくれるならばそれは嬉しいことだ。でも、アジガンダ。君は大丈夫なのか?」
「食べてみたいの、どうしても。あなたがいつも、いつもとても美味しそうに料理を食べているから」
訴えかけるアジガンダのブルーの右瞳には、一切の揺らぎが無いように、ネヒロネには映った。
「分かったよ。今日は、豪華なディナーにしよう。アジガンダが家に来てから、パーティーをやったこともなかったね。歓迎パーティーとしよう」
「ありがとう、ネヒロネ。本当にありがとう。私はあなたの厚意で置いてもらっているだけだから。本当に感謝しかない」
「気にすることはないんだよ。僕はずっと一人で、話相手もいないし、服を自分で直すこともできないし。そんな所にアジガンダが来てくれて、とっても嬉しいんだ。厚意だなんて。僕の方からお願いしたいくらいなんだよ」
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