クレマチスの旋律

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イギリス首都ロンドン 中世の街 フォートラベル そこで靴を磨きをする18才の青年ハリス 彼は雨の日も風の日も年中靴を磨き続け 街の人からは磨き屋のハリスという あだ名で親しまれている 彼は幼い頃 両親を亡くしそれ以来 靴を磨き続けている ハリスは両親を失った悲しみを紛らわせるため ああして年中無休で靴を磨いてんのさ! あいつが誰かと遊んでるとこ見たことないぜ! …まぁ…あの事件は気の毒だけどよ シッ! それ以上は言うなっ! ハリスが手を止めてジッと睨みつける ほら行くぞ あいつは地獄耳なんだ …仕上がりました。 ほう。これはこれは素晴らしい光沢だよ まだ若いってのに大したもんだ …どうも 足のマッサージもどうですか? サービスで行っていますが? ほお。そうかね ではお言葉に甘えてお願いするよ うむ。すっかり足取りが軽くなったよ 今日からこの街に住むんだがね いやぁ〜君のおかげで仕事もはかどりそうだ …お気に召されて光栄です はっはっはっは! なんとも商売上手な青年だ 私も君にサービスしなくてはな …こ、こんなに受け取れません はっはっは! ますます気に入ったぞ 構わないさ。受け取ってくれたまえ。 私の知人にも紹介しよう フォートラベルには素晴らしい 靴磨き屋さんがいるとな …ありがとうございます 久しぶりにカーニバルが再開されるからか 街は活気だな。私も楽しみだよ … ん?君は楽しみではないのかね? …少し…複雑です どうしてだい? …いい思い出はないので そうか。すまないな はしゃいでしまって いえ。…よい休日を 10年前 カーニバルの夜 僕は両親を通り魔に殺された 奇跡的に僕だけが助かってしまった あの事件以来この街では祭りが開かれる事は無くなったが10年ぶりに再開するみたいだ そのせいかこの街では見慣れない人が往来している。もしかしたら… 見つけれるかもしれない…ずっと探していた…あいつを… カーニバル前日 街では出店や舞台の設置で僕はいつもよりも 隅に追いやられている …ふぅ…今日はもうこれくらいにするか… あ、今日はもうお終いかい? ハリスの前に現れたのは30代半ばの男性 ブランドのスーツを着け 高級な腕時計 ワニ皮のお洒落な靴 …この街では見かけた事はない人だな… …いえ。ちょうど今終わろうと身支度を整えていたところなので大丈夫ですよ そうかい?いやぁ助かるよ。 これからナンパしようと思ってたら 先程通った通路で水溜りがあってね 汚れてしまったんだ …地元の人ではないんですね どうしてそう思うんだい? …あそこの通路は雨が降ると 水溜りになるんです この時間帯だと建物の影に水溜りが同化するので 地元民は避けて歩いてるんですよ そうだったのか 確かに分からなかったよ けど昔はそうでも無かったんだよ? …え? ふふ。実は昔ここに住んでいたんだよ私 …そうでしたか。 …10年前とか? ほぉよく分かったね 実は10年ぶりに伝統の祭が開かれると耳にしてね 戻って来たんだ ほらひと足先にお面を買ったのさ … どうしたんだい? …い…いえ。すみません その仮面は苦手でして そうかい?それは悪かったね さあ。仕上がりましたよ ほぉこりゃ素晴らしい!噂通りの腕前だ オシャレは足元からだからね これでナンパもうまくいくよ ありがとう …サービスで足のマッサージも してますけどどうですか? ほぉそうかい? よろしく頼むよ 翌日 2人の遺体が発見された
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